ぴかぴかと電飾が点滅して、耳障りな電子音が鳴り響いた。
背中を向けていた相手が振り返り、どうだと言わんばかりに阿部を見返した。
ゲームセンターのスラッガーアウト。9つに分かれた的の全てに電光がついている。『パーフェクト』と変に外人っぽい発音が、音割れした歓声とともにスピーカーから繰り返し聞こえていた。
阿部は視線を無視するように、顔を逸らした。チームメイトたちは皆、阿部たちから離れた場所でそれぞれゲームに興じていて、手近な場所に見知った姿はなかった。
「おいっ、見てなかったのかよ、タカヤ!」
呼ばれて嫌々振り返ると、両手を腰にあててふんぞり返る相手が視線の先にいた。
「パーフェクト!」
子供みたいに、点滅する的を指で指す。
「はいはい。すごいっスね」
「誰がノーコンだって? タカヤさん」
「マウンドでもこんぐらい枠入れてくれりゃ、撤回します」
「か わ い く ねー」
可愛くてたまるか。
「タカヤー、拍手は?」
賞賛をねだる相手に、阿部はやる気のない拍手をぱらぱらと送った。
■web拍手お礼の戸田北でした。
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